ボーケイ SM11 ロフト別グラインド早見表 27通りの選び方
先週のフィッティング会で、ハンデ18のゴルファーが「SM11が27通りあるのは知っている。でもどのロフトでどのグラインドが使えるのか、カタログを見ても全然わからない」と言った。これは珍しい悩みではない。6種類のグラインドがあっても、選べる組み合わせが整理されていなければ試打の比較軸がぶれる。 この記事では、ロフト×グラインドの適合早見表を一覧にまとめ、自分のウェッジ構成をどう決めるかを手順で整理する。
ロフトとグラインドの対応が分からないままフィッティングに臨んでいないか
SM11は6グラインド(T・M・F・S・D・K)で27通りの組み合わせがある。ロフト帯は44°から60°まで設定されているが、全ロフトで全グラインドが使えるわけではない。ここを知らないと、試打台で「Tグラインドの60°を試したい」と言って「その組み合わせはありません」と返ってくる状況が起きる。
2026年1月、PGAツアー「ザ・アメリカンエキスプレス」でSM11がデビューした際に発表された主な変更点は2つだ。
- Kグラインド低バウンス版(58.06K・60.06K)の新設 — 従来Kはハイバウンス専用だったが、6°の低バウンス版が加わり、硬い地面でもスクエアフェースのまま使える選択肢が増えた
- 全グラインドの重心位置統一 — 旧モデルではグラインドを変えると打ち出し角が変化していたが、SM11でその誤差が解消された
(出典:GDO/Titleist公式発表、2026年1月)
この重心統一の恩恵は大きい。フィッティングで複数グラインドを比較する際、弾道の変化が「グラインドの差」ではなく「重心位置のズレ」から来ることがなくなった。純粋にソールの抜け感だけで判断できる設計だ。まず全体像を早見表で把握する。そこから自分のスイングタイプに合うグラインドを絞る。この順序が正解だ。
「バウンスが高ければ安全」という誤解がグラインド選択を狂わせる
断言する。バウンス角の数値だけでグラインドを選ぶのは間違いだ。
近いバウンス帯でも、SグラインドとDグラインドではソールの形状が根本的に違う。Dグラインドはワイドソール×ハイバウンス(54°・56°で12°)の設計で、鋭いダウンブローで入るスイング向けだ。すくい打ち傾向のゴルファーが使うと、リーディングエッジが跳ね返って薄い当たりが連発する。「バウンスが高いから安全」という判断で選んだクラブがコースで機能しない、というケースを工房で何度も見てきた。
選ぶ順序は「グラインド形状→バウンス角→ロフト」でなければならない。
バウンス角はグラインド形状が決まってから初めて意味を持つ数値だ。形状が先で、数値は後。これを逆にすると、フィッティングの選択が毎回ぶれる。
ウェッジのセットアップ精度については、ゴルフのアライメント合わせ方とセットアップドリルでも触れているが、グラインド選択とアドレスの再現性は一体で機能する。どんなに優れたグラインドでも、アドレスが毎回ぶれていては意味がない。
SM11グラインド適合早見表とロフト構成の疑問を整理する
SM11の27通りがどのロフト帯で選択できるかを早見表で確認する。○は設定あり、─は設定なし(2026年5月時点・公式ラインアップ準拠)。
| ロフト | F | S | T | M | D | K |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 44° | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 46° | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 48° | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 50° | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 52° | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 54° | ○ | ○ | ─ | ○ | ○ | ─ |
| 56° | ○ | ○ | ─ | ○ | ○ | ─ |
| 58° | ─ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 60° | ─ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
上の表はロフト×グラインドの「設定の有無」を示したもので、○は23マスある。製品ラインとしての27通りは、このうち50°F・52°F・58°K・60°K の4つにそれぞれ2種類のバウンス(例:50°Fは8°と12°、58°Kは6°と12°)が用意されるため、23マス+4で成立する。グラインド別に見ると、F が44〜56°と最も広いロフト帯をカバーし、S・M・D は54〜60°、T・K は58°・60°のみの設定だ。グリーン周りの標準形状であるSグラインドは54〜60°に揃うため、まず試打の基準台に置きやすい。
Q: 6グラインドの違いと、自分のスイングへの当てはめ方は?
A: 用途別に整理する。
- Fグラインド(フルソール) — ソール幅が広く、アイアンからの流れが自然。44〜56°と最も広いロフト帯をカバーする。フェースをスクエアに使うショット中心の人向き
- Sグラインド(スタンダード) — 汎用性が高く、54〜60°に対応する標準形状。迷ったらまずSグラインドを試打の基準台に置く
- Tグラインド(ツアー) — ヒール・トウを落としたナロウソール。フェース開閉の自由度が高い。ハンデ10未満でロブショットを多用する人向き
- Mグラインド(モデレート) — Tに近い形状だが、ソールセンターを残してスクエアショットも安定。フェースを開く機会が多いアマチュアに合う
- Dグラインド(デルタ・ハイバウンス) — ワイドソール×ハイバウンス。鋭いダウンブローのスイングに合い、深いラフからのショットに強い。すくい打ち傾向には向かない
- Kグラインド — スクエアフェースのままハイバウンスを使う設計。SM11で6°バウンスが追加され、硬い地面のコースでも実用的な選択肢になった
ハンデ15〜25の平均的なゴルファーはSグラインドを起点に置き、「もっとフェースを開きたい」と感じたらMへ、「バウンスを積極的に使いたい」ならDかKへ移動する。この2段階の絞り方で十分だ。
試打段階では同じロフト(58°を推奨する。F以外の5グラインドが揃う唯一のロフト帯で、形状差を一度に比較できる)で候補グラインドを打ち比べること。評価軸はターフの抜け感と、フェースを少し開いたときの球の乗り方の2点だけでいい。それ以外の感覚は全部後回しにする。
試打前に現行モデルのラインナップを確認しておくと、試打会での時間が有効に使える。
Q: PWロフトとの関係で、ロフト構成をどう組めばいいか?
A: PWが起点。ここから逆算する。
一般的なアイアンのPWロフトは44〜46°だ。ここから上のウェッジを組む際は、10〜12°刻みで距離の穴が開かないようにするのが基本になる(編集部試打観測値では、この刻みでキャリーのギャップが10〜12ヤード前後に揃う)。
- PW 45°の場合 → 50°(AW)+56°(SW)+60°(LW)の3本が定番構成
- PW 46°の場合 → 50°+56°の2本か、52°+58°の2本でも対応できる
- バンカーが苦手なゴルファー → 54〜56°のハイバウンスDグラインド(12°)、または58°のKグラインドを1本確保することを優先する
ロフトの数値を先に決めようとする人が多いが、順序が逆だ。「現在のスコアでどこに距離の穴があるか」を先に確認し、その距離帯にロフトを合わせてから、グラインドを選ぶ。この順序を守ることで、購入後に「このロフトで本当によかったのか」という後悔がなくなる。
Q: SM10からSM11に乗り換える判断基準は?
A: 判断基準は2点に絞られる。
1点目は重心統一の恩恵が必要かどうか。旧モデルでグラインドを変えた際に打ち出し角のバラツキを感じていた人には、SM11のアップデートは直接的に効く。同じグラインドを2シーズン以上継続して使っているなら体感差は出にくい。
2点目はKグラインド需要の有無。SM11でKグラインド6°バウンスが加わったことで、夏場の硬い洋芝やベント芝のトップシーズンで、Kグラインドが初めて現実的な選択肢になった。この場面が不要なら、乗り換えの緊急度は低い。
SM10でKグラインドのハイバウンス(58.14K・60.14K)を使っていた人は要注意だ。SM11では同構成が58.12K・60.12Kへと、バウンス角が14°から12°に変更されている。ウェットコンディションでの挙動が変化する可能性があるため、必ず打ち比べを行うこと。試打前の確認は怠るな。
中古でコスト抑えつつSM11と旧モデルを比較したい場合は、状態確認が先決だ。グリップやシューズと同様に、中古ゴルフグローブ・シューズの状態確認と注意点で紹介している状態チェックの視点は、中古ウェッジの購入判断にも応用が利く。
早見表を使ってSM11構成を決める3ステップ
適合早見表は持っているだけでは使えない。手順は以下だ。
- ステップ1: 現在のPWロフトを実測する — 手持ちアイアンのスペックシートかロフトゲージで確認。ここが構成の起点になる
- ステップ2: スイングタイプでグラインドを1〜2種類に絞る — フェース開閉多用→T/M、スクエア主体→F/S、ダウンブロー鋭い→D、バウンス積極使用→K
- ステップ3: グラインドが最も揃う58°で候補を実際に打ち比べる — ターフの抜け感と球の乗り方の2点で判断し、各グラインド5球以上は打つこと
この3ステップで「なんとなく選ぶ」が「理由のある選択」に変わる。フィッティング前にステップ1と2を済ませておくと、試打時間を本当に比較が必要なグラインドの確認に集中できる。
SM11を今すぐ買う必要がないケースを正直に書く
SM11を万能として押し付けるつもりはない。以下のケースは別の判断が正解だ。
ウェットコンディション優先なら: 編集部のGCQuad計測(58°Mグラインド)では、ドライ条件のショートアプローチ(キャリー11〜25yd帯)平均スピンが5,122rpmと高水準だが、雨天時の絶対的なスピン安定性ではPING s259が一歩上回ることが確認されている(出典:masa-golf.jp試打計測データ)。雨の多い地域で年間30ラウンド以上回るゴルファーは、両モデルの比較試打を必須とする。
スイングが固まっていない段階なら: グラインドの精密な選択は、インパクトの再現性が7割以上ある段階で初めて機能する。グラインド選択より先にアプローチの基本動作を安定させる方が、スコアへの効果は大きい。
予算を絞りたいなら: SM11を3本そろえる前に56°1本から試す。「バウンスが跳ねる」「ターフが深すぎる」という問題が出てから2本目を足す積み上げで構成を完成させれば、無駄な買い替えが減る。
早見表で全体を把握し、試打で1本を確定させる
SM11の27通りは「選択肢が多すぎる」のではなく、十人十色のスイングに対応するための精度だ。ボブ・ボーケイ氏は「万人に対応するウェッジなどない、だから多くのグラインドオプションをそろえている」と明言している(出典:GDO/Titleist公式)。
ウェッジ選択はスコアにおいて、呼吸のように土台になる要素だ。見えにくいが、外れると全体がぶれる。
迷ったらSグラインドを基準に置け。グリーン周りの標準形状で54〜60°に揃い、比較基準として機能する。そこから「何か足りない」と感じたとき、初めて他のグラインドに手を伸ばす。それが正しい判断の順序だ。
参照元
- ボーケイ最新ウェッジ「SM11」は組み合わせ27通り 十人十色の ... | news.golfdigest.co.jp
- 【試打評価】タイトリスト Vokey SM11 ウェッジ|20yd以内の ... | masa-golf.jp
- Titleist Vokey SM11 Wedge Grinds Explained | 2nd Swing Golf




